夏季集中古文書整理2024(上)

2024年10月01日 [カテゴリー:紹介]

文化史担当の阿部浩一(歴史学、日本中世史)です。
だいぶ時間が経ってしまいましたが、8月に実施した古文書整理についてご紹介します。

わたしが代表を務めるふくしま歴史資料保存ネットワークでは、行政政策学類の古文書学実習とタイアップするかたちで、2014年から毎夏、COVID-19の影響で中止にせざるを得なくなった年度を除き、夏季集中整理作業を開催してきました。
古文書学実習を履修する学生たちを中心に、学外の研究者から市民ボランティア・卒業生まで幅広い人々が集まり、ふくしまの資料保全に取り組む、名実ともに暑い夏の2日間です。

今年度は8月17日(土)・18日(日)に実施しましたが、台風7号の影響で東海道新幹線が計画運休したため、名古屋方面からの参加希望者が直前に何人も来られなくなり、当日も午後まで東北本線が運休するなど、開催が危ぶまれる事態となりました。
そこで初日は午後のみとし、東北本線の代わりにバスへの振替を案内したことで、ふたを開けてみれば、初日は37名、2日目は35名が集まりました。
この場を借りて、あらためて感謝申し上げます。

夏の集中作業では、たっぷり2日間時間を取れるメリットを活かし、いつもの古文書学実習ではできないメニュー、具体的には襖の下張り文書はがしに取り組みます。
今年度は、春先に福島県内の古民家の蔵などから救出してきた、襖の下張り文書を整理しました。
すでに木枠から外されたものが大半でしたので、作業の手間はだいぶ省けました。
とはいえ、中にはくしゃくしゃの状態で保管されていたものもあります。

ときには、まったくバラバラの状態で、パズルのように組み合わせを見つける(これはくずし字が読めないと、つながりがわかりません)作業も必要になります。

広げてみると、不要になって再利用された文書が何層にも重ねて貼ってあります。
全体写真を撮り、カードに記録を撮って、1点ずつ文書を確認していきます。
何が出てくるかわからない、タイムカプセルを開くような感覚でしょうか。
歴史研究者にとっては、ある種の「お宝探し」に近いものかもしれません。



この基礎作業が終わると、ようやく「はがし」に入ります。
これが最も面白い作業で、気が付くとはがし作業に夢中になっています(笑)。

【(下)に続く】

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