あぶくま学生支援事業:新地町での資料保全活動

2023年02月24日 [カテゴリー:紹介]

 文化史ゼミ3年の角田幸穂です。前回、私たちはあぶくま学生支援事業「相馬の被災資料保全を支援するプロジェクト」にて、20223月の福島県沖地震で被災した相馬市内の個人宅で資料の記録調査を行いました。今回は1月に新地町で活動してきましたので、その報告をさせていただきます。

 相馬市の北隣の新地町も20212月、20223月に震度6強の地震がありました。今回訪問したお宅は、2021年の地震により3棟の蔵を解体せざるを得ない状況になり、中にあった資料などを一時保管場所に避難させました。今回はその保全した資料の記録整理を行いました。

 20213月、壁の崩落した2棟の土蔵

 蔵から搬出した際に、元あった場所ごとに番号を付けて分類されていたので、それをもとにクリーニング作業をしました。箱に入れられている資料はどれも埃や塵にまみれていたため、専用のマスクをして粉塵を吸い込まないようにし、持ってきた刷毛とブラシで丁寧に除去して段ボール箱に詰めていきました。箱には収められている資料の概要を記録し、重要そうなものは写真を撮っておきました。

 当日の活動の様子

 商家ということもあり、当時の焼印など、商売ゆかりの品々が見つかりました。昔のポスターや時刻表もあり、地域の身近な歴史を垣間見ることができました。さらには襖の下張り文書らしきものもありました。所有者のお母様の日記には婦人会の記録がつけられており、健康についての知識が沢山書きつけられていました。

 昔使っていた焼印

 襖の下張り文書か

 昭和50年の相馬駅の時刻表 かつての珍しい急行の名前も

 長時間にわたる作業は大変でしたが、お昼にはお手製の美味しい豚汁でねぎらってくださったことを、とてもうれしく思いました。

 このメンバーのほとんどは新地町に行くのは初めてで、私を含め、駅前の広場や道路が綺麗に整備されているのに驚きましたが、それは12年前の東日本大震災による津波の被害の後に建て直したものだと知りました。しかし、建物や道路の整備が進んでいる半面、施設にいる人の少なさ、また広い道路に走る車が少ないのに違和感を覚えました。建物の復旧は進んでいるが、人の賑やかさに象徴される復興はまだ終わってはいないのだなと、被災地への理解を深めることができました。

 改修された河川と住宅地

 新地駅前の観海堂跡碑(東日本大震災の津波で建物は流出)

 これまで、相馬市と新地町で2回活動を行ってきましたが、震災による資料の被災の問題や、直接被災地へ行くことで分かった状況など、得たものは大きかったです。私たちは時が解決していない問題について考えることをやめてはいけないのだと思いました。自分たちの活動が少しでもその課題の解決の一助になれたらと願うばかりです。

 今回も前回に引き続き「あぶくま学生支援事業」にご支援いただき、活動することができました。この場を借りて御礼申し上げます。

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