あぶくま学生支援事業:相馬での資料保全活動

2022年10月27日 [カテゴリー:]

本学類の「あぶくま学生支援事業」の採択をうけた学生たちによる活動についてご紹介します。

文化史ゼミ3年の角田幸穂です。私たちはあぶくま学生支援事業「相馬の被災資料保全を支援するプロジェクト」に採択され、相馬市に行って活動しましたので、その報告をさせていただきます。

このプロジェクトを立ち上げたきっかけは、2021年・2022年の2度にわたり震度6強の地震のあった相馬市で、多くの建物が被害を受け、解体しなければならない状況に直面しており、その建物の解体作業で収蔵されている貴重な文化財が失われてしまう恐れがあることを知ったことです。

1022日、相馬市内のある店舗にお邪魔しました。店舗奥の蔵は土壁が崩れ、瓦礫が散らばっていました。ヘルメットを被って安全面に配慮しながら慎重に作業を進めました。

作業は棚ごとに分類番号を振り分け、様々な資料の存在を確認し、写真を撮って図面や調書をとるなどして記録を作成しました。家で冠婚葬祭をするときに使っていた御膳や茶碗などの生活用具、古いアルバム・写真、太平洋戦争中の雑誌などの貴重な資料が確認できました。今では使い方のわからない道具もあり、相馬の歴史に詳しい地元の方にお話を聞きながら作業できたのもよい経験になりました。

5時間、思ったより整理に時間がかかり、8月の夏季集中作業でも体験した襖の下張り文書の剥がし作業は行えませんでしたが、剥がす作業の手順を確認したり、下張りに使われていた文書を観察したり、濡れた文書の乾かし方もご教示いただきました。

メンバーのほとんどが相馬に行くのは初めてで、移動時間などの際に阿部先生や地元の方から説明を受けました。醤油店や相馬焼の工房など、古くから続く商売をしている店が多く、新たに見つかった江戸時代の城下町絵図にも、今回調査したお店の名前があったと聞きました。そうした相馬の歴史の魅力を知る一方で、半年以上経つ今でも地震の傷跡が癒えず、ブルーシートで覆われた家屋や傾いた建物などをあちこちで見かけました。特に立ち入り禁止のテープの貼られた建物は、外からでもその被害の大きさが分かり、胸が痛くなりました。直接現場に行ったことで、復旧・復興はまだ終わっていない現状を再確認することができました。

こうした活動をすることができたのも、ひとえに「あぶくま学生支援事業」より支援いただいたおかげです。ありがとうございます。また、ご指導いただいた「そうま歴史資料保存ネットワーク」「宮城歴史資料保全ネットワーク」の皆様にも、この場を借りてお礼申し上げます。

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