博物館実習:美術品梱包実習

2022年02月25日 [カテゴリー:紹介]

博物館実習:美術品梱包実習

博物館実習では約10年前から、博物館・美術館の美術品輸送も業務の一つとしているヤマト運輸の研修サービスを利用して、美術品の梱包実習を行っています。

博物館・美術館等で展示を行う際に、他の館や所蔵者から資料の貸し借りを行うことがあります。中でも美術品(特に東洋美術)は取り扱いが最も難しいとされます。

その際に必要な美術品の梱包作業を通じて、文化財に向き合う心構え、資料の性格や取り扱い方などを頭と体で理解する、大事な実習の一つです。

例年、西洋絵画の梱包、掛け軸の取り扱いと梱包、仏像の梱包、陶器の梱包などをお願いしています。

最初は、額縁に入った洋画を梱包し、輸送用の箱を作り、紐で縛るものです。

上手くぴったりはまったところもあれば、寸法を間違えてぶかぶかの蓋をつくってしまったところもありましたが、仲間とコミュニケーションをとり、確認しあいながら、手分けして一緒に取り組むことの大切さも学んでくれたと思います。

2つ目は掛け軸の取り扱いと梱包です。

掛け軸を箱から取り出し、かけて広げたあと、巻いて箱に戻し、その後に梱包します。

取り扱いには細かい注意点がたくさんあり、一度にマスターするのは難しいのですが、文化財を扱う難しさと緊張感を感じ取ってもらいたいです。

梱包の中でも難度の高いのが仏像です。

さすがに素人にはできませんので、プロのやり方を目の前で見ながら、梱包で何が特に重要なのか(大事なお顔や細かいつくりの手などを綿密に保護する、など)を学びます。

そして陶器の梱包です。陶器が箱の中で動かないように養生したのち、紐の結び方を教わり、箱ごと全体を綿枕で梱包します。

最後に質疑応答の時間をとっていただきました。

時間を押してまで丁寧に回答いただき、ありがとうございました。

たった1回の実習で身につけられることはごくわずかですが、文化財と向き合う姿勢、取り扱いの難しさを知るだけでも十分な意味があります。

将来、文化財を取り扱う仕事に就いた際には、書き留めたメモがきっと役立つでしょう。大学での学びと経験を活かせるようになることを願っています。

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