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比較地域文化論I (前期)
辻 みどり
【講義のねらい】
私たちは現在、西欧化したモノ・制度・コンセプトから成る生活文化になじみ,アジア人としての身体表象すら忘れがちである。
生活文化一般への西欧文化の受容は、明治の近代化政策に端を発するが、江戸時代の衣食住スタイルを一新させた「文明開化」は、西欧のモノやデザインが表象する「近代文明」というイメージの移植にほかならないことに留意しなければならない。
一方、同時期の西欧諸国では、日本の伝統的な美術工芸品や職人芸が高く評価されるとともに大衆レベルの日本ブームが起こり、「ゲイシャ・サムライ」という日本イメージが浸透する契機となった。
この講義では、19世紀後半の日本と西欧それぞれにおける異文化受容の過程とその意味を再検討・比較する作業を通して、現在の私たちの生活文化を見直すとともに異文化受容のあり方を考える。
【講義概要】
1. 近代市民の文化的アイデンティティ
(1) 文化と表象
(2) 日本の「文明開化」と近代化の表象
2. 西欧の「まなざし」〜オリエンタリズム
(1)「視の制度」:視覚/知覚の変容
(2) 文化的の政治学〜「野蛮」の発見
(3) 「文明化の使命」とアジア・イメージの変容
3. 19世紀西欧における表象空間の再構成
(1)消費文化とイメージの消費
(2)「美の使命」とジャポニズム・ブーム
(3)日本人村、『ミカド』:消費される日本イメージ
4. 日本の近代化政策とセルフ・オリエンタリズム
【使用テキスト・参考文献等】
講義ごとに資料及び参考文献リストを配布する。
【評価方法】
レポート提出と定期試験による。詳細は第一回講義でプリント配布する。
【学生へのメッセージ】
この講義は比較文化講座版FDプロジェクトへの登録科目です。