福島大学行政社会学部

佐藤達哉 「**を信じるな!」

1 血液型性格判断 を疑ってみよう!

 「ねえ君、*型じゃない?」

 「うそ、何でわかるの!」

 「だってその君の行動パターンを見てれば分かるよ」

 「え〜ホント?よく言われるわ。ところでアナタは?もしかして#型?」

 などという会話は非常にありふれたもの。それほど親しくない相手とのさりげない話題として血液型の話題はすっかり定着していると言っていいようです。しかし、このような考え方は決して心理学者が支持しているわけではありません。おそらく、血液型と性格の関係を素朴に信じている人たちも、それが学校などで習ったわけではないということには同意するでしょう。当たり前のように信じられている血液型性格判断ですが、実はこのような考え方が広まったのはつい20年ほど前にすぎません。ずーっと昔からあったわけではないのです。年表を作りましたので見てみてください。現在なんとなく信じられている現象が社会的に作られてきた様子がわかり、現象を相対化できると思います。

 では、心理学者はどのように反対しているのでしょうか?単に反対!と言っているわけではありません。血液型に限らずモノゴトを否定するのは難しいものです。したがって、この問題についても以下のようないくつかの論拠を総合的に判断した上でその妥当性を否定していると言えます。

その論拠には

1 論理的反論

 性格を血液型のような生物学的な指標では捉えられないという医師・医学者の高田明和さんや生物学者・溝口元さんの主張や、そもそも血液型で人間の属性について語るのは人種差別的だという作家・松田薫さんの主張があります。

2 実証的反論

 血液型と性格の関係を性格心理学の手法に則って調べる研究によれば、両者には明確な関係は見いだされていません。性格心理学者大村政男さんや詫摩武俊さんが代表的な論者です。

3 現実的弊害

 特定の血液型が不利に扱われていることを示した社会心理学者の松井豊さん・上瀬由美子さんコンビや佐藤達哉・渡邊芳之コンビの主張があります。

のようなものがあります。この他にも、手品を用いた超能力批判で有名な安斎育郎さんは、血液型を信じることと非科学的なことを信じることが同型であること、占いなどの社会的機能を研究している社会心理学者伊藤哲司さんは、血液型を信じることは俗信を信じることと同型であること、をそれぞれ指摘しています。

 「反論は夢がないから嫌い!」という人もいるでしょうし、あるいは「血液型なんて信じるヤツはバカだ!」と決めつけている人もいるでしょう。しかし、そのような態度はどちらも同じです。このページを読んで、少しでも疑いの心を持ったら、下記の参考webサイトを見てみたり、参考文献を読んだりしてみてください。血液型性格判断を疑ってみることはそれ自体重要なことですが、紋切り型に「関係ない!」と言うのでは信じているのとそんなに変わりません。そうではなく、モノゴトを批判的に思考する習慣をつけることこそが大事だと思われます。


血液型性格判断を考えてみたいあなたのためのリンク集(大学名50音順)

岡山大学・長谷川芳典さんの「血液型性格判断資料集」のページ

東京大学・柴内康文さんの「血液型ー性格関連説について」のページ

北海道教育大学・中西大輔さんの「血液型性格判断をやめよう」のページ


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