九大教育学部集中講義(心理学史)佐藤達哉担当「現場主義の心理学史」99.02.18.〜20.

最後に提出してもらった「講義の感想」からいくつか紹介します。

 なんか怪しい宣伝みたいですがとりあえずお読み下さい。

感想大賞!(なんだそれ?)

 心理学にこんなに楽しい歴史があったなんてびっくりで、でもそういうことがあったということはこれからも実はおもしろいこともあるんだろうと思い、私も何かやってやるぜという気合いが入った。

講義担当者のコメント

 みなさんの感想はそれぞれ楽しいもので大いに励まされたり反省させられたりしましたが、この感想が一番すき!ということで「感想大賞」とさせていただきます。歴史をやることの意味ってのはやはり未来を作るためにあるんだよねーってことが文体からも伝わってきます。歴史は懐古趣味じゃないし、非生産的活動でもないってことを今回の講義で伝えられたとしたら、自分としても少しうれしい話です。

 この感想を書いたあなた。HPを読んでメールくれたら副賞(駄本)を送ります。その他、講義に参加されたみなさんもメールくださいね。

講義の内容についての感想

 明治や大正期に、大学に入ってその上留学するというのはとてもすごいことだと思うのですが、そのように活発な学問研究が行われたおかげで日本の心理学が現在のような形にまで発展したんだということをつくづく感じています。今後は日本から世界へ新しい学問を広めていけたらいいなあと思うし、私もそれに何らかの形で貢献できたらなあと考えています。
 歴史の話ということで少し抵抗があったのですが、研究室の教官に話が面白い人であることを聞いてこの講義をとることにしました。私の中での「歴史」の株が少し上がり、心理学史、それも日本の心理学史を知ることができたし、よかったです。
 図書館やインターネットでの検索は、まさにフィールドワーク、現場主義の姿勢が感じられました。今まで図書館を利用する中であのような場所の存在など知りませんでした。今後、足を運んでみたいと思います。「九大の心理学史」についても興味深いものでした。心理学史においては、問題が身近にあると感じました。
 講義全般を通じていえることですが、OHPやスライドを始め、書庫めぐりやインターネットと使い得るものを取り込んで、とても刺激的な講義内容だったと思います。
 知能検査について私の中では「人を数字だけで序列する」という悪いイメージがあるのだが当初の目的は「年齢差を考慮して人をとらえるためのもの」であり、その後IQが一人歩きしたと知り、「知能検査」に対しての私のイメージが、多少変わった。またIQの一人歩きの裏には第1次世界大戦の勃発という要因があったと知り、人間は歴史を作るけど、歴史によって人間が作られる場合もあるのだと改めて思った。
 私はこの講義の中で、知能検査のことが勉強できたことが一番印象に残っている。知能検査ができた頃は障害児によりよい教育を受けて欲しいと考えられており、また、元良(もとら)勇次郎さんも注意(attention)力をつければ治ると信じていた頃もあったのに、いつから今のように、障害児を教育の場から除く(ここまでいうと言い過ぎかもしれないが)ような使われ方をするようになってしまったのだろうか。IQができたことがその原因なのだろうが、IQがそんなに受け入れられたのはなぜなのだろうか。
 この講義を聞くことで、心理学に対する様々な疑問が出てきました。まだ明らかになっていないことはたくさんありますが、疑問を持つことによって私の心理学に対する興味がさらに深まったように思います。

講義担当者のコメント

 心理学史の現場に接するという目標を好意的にとらえてもらってうれしい。知能検査の歴史という私の得意ジャンルについても喜んでもらえたので良かった良かった。

 2番目の感想中にでてくる「話が面白い人である」と紹介してくれた「研究室の教官」とは、発達心理学のE先生のようです。めるしー!

新しいことから遡っていく講義の仕方についての感想

歴史(現在もそうですが)は過去があってこそ次の時代があるものだと思うので、やはり昔から今、のベクトルのほうがよかったと思います。遠い昔から(?)始まり、あ、いつの間にか現代だ、というのが好きです。

 けれども歴史を学ぶ新しいスタイルだと思います。今までにこの流れで学んだことがなかったので、私が慣れていけば、もしかしたらわかりやすい方法なのかもしれません。

 「心理学史」の講義ということだったので、受講する前は歴史の勉強がもともと苦手なので、不安があったが、講義では細かく年表を追うのではなかったため、流れがつかみやすかった。現在から過去へさかのぼっていく方法は、歴史嫌いの私にとっては興味を持ちやすく、聞きやすかった。

講義担当者のコメント

 私にとって初めての心理学史の講義だというのに、全く他人がやらないような方法(後ろから遡る)を試してみたところ、割合としては賛成してくれる人が多かったようでした。いきなり、アリストテレスにも心理学思想があったなんてことを講義されても自分だったら興味をなくす、と思ってのことです。★1999年度は筑波大学で講義をすることが決まったので、批判的な意見も参考にして今後に生かしていきたいと思います。


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