福島自立更生促進センターの参観を行いました

2018年07月04日 [カテゴリー:ゼミ]

 法学専攻の高橋有紀ゼミ(刑事法・刑事政策)の学習の一環として、7月3日に福島自立更生促進センターの参観を行いました。

 福島自立更生促進センターは、国(法務省)が直接運営する更生保護施設(※刑事施設を出所した者等が社会復帰のために一時的に居住する施設)であり、罪を償い地域で再出発を期す人々にとっても、犯罪(再犯)のない地域で安心して暮らすことを望む人々にとっても、重要な社会資源です。他方で、同センターの開所にあたっては、行政政策学類の当時の教員や卒業生も巻き込み、賛否両論の大きな住民運動が生じ、行政機関の住民に対する説明責任のあり方、更生保護に対する社会の無理解、無関心など、まさに「地域の課題」が浮き彫りになりました。

 日頃から、「生きづらい人に居場所のある地域社会をつくる」という観点で刑事政策にかかわる諸問題を学んでいる高橋ゼミでは、そうした開所の経緯や更生保護施設の存在意義について文献を通じて事前学習をしたうえで、このたびの参観に至りました。当日は、同センターの保護観察官(※更生保護に携わる国家公務員。行政政策学類を卒業後、この職に就く人もいます。)から、開所までの経緯やセンターの概況、センターで暮らす人々の様子などについて説明をいただき、施設内を見学させていただきました。参観後の質疑では、学生から、「同センターへの入所対象とならない人たちはどうするのか?」、「開所前は反対運動ばかりが報道されていた様子が見られるが、当時賛成していた人の意見や、現在センターを支えてくれている市民についての報道はなかったのか?」など、様々な質問が上がりました。実際にセンターの様子を見たり、センターで日々、入所者と接している保護観察官の生の声を聴いたりすることで、文献のみでは得られない多くのことを学び、考える大変有意義な機会となりました。

 一般に、「法学」の学びは教室に閉じこもり、判例や条文をひたすら読むものと思われがちです。しかし、人々の営みは「条文」の前にも「判決」の後にも続いています。法や制度を足掛かりに、地域における様々な課題とそこで苦しむ人々、彼らを支える人々の想いに目を向けるべく、高橋ゼミでは毎年、様々な場所に参観に出向いています。今年度は、秋以降、県内の刑務所や少年院などの参観も予定しています。

更生保護施設1

更生保護施設2

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