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いわき市塚前古墳の測量調査の大きな成果ー考古学研究室

2017年05月30日 [カテゴリー:紹介]

本学類の考古学研究室(代表:菊地芳朗教授、研究室所属学生9名)は、2017年3月14日~23日の9日間にわたり、いわき市塚前古墳の測量調査を行い、その貴重な成果を公表しました。

(測量調査作業風景)

いわき市小名浜林城字塚前の塚前古墳は、2016年秋にいわき市教育委員会が行た発掘調査によって6世紀中ごろの築造であることが判明していましたが、この調査が古墳周囲のごく一部分にとどまり、その正確な規模や墳形については、よくわかっていませんでした。

考古学研究室の新たな調査の結果、この古墳は前方後円墳で、全長が95~120メートル、後円部直径53メートル、前方部長54~70メートル、前方部幅45~65メートルと推定されることが分かりました。

(塚前古墳全景)

(塚前古墳航空写真)

6世紀の後期古墳としては、東北最大の古墳であるという大きな発見でした。

日本列島の古墳分布北縁地域にあたる東北では、古墳時代後期に大型古墳がほとんど存在しないと考えられてきたが、今回の調査によって、その評価を変更するとともに、古墳時代から奈良時代にいたる東北や東日本の歴史を再検討する必要が生まれたとのことです。

「古墳の大きさや形から考えて、東北など地方の有力者が、古墳時代後期(6世半)に大和政権の運営を支えていた可能性を示すものではないか。6世紀には近畿地方の大王による地方支配が強まり、7世紀の律令国家形成につながったという直線的な歴史観が支配的だが、そうした定説に一石を投じる発見だ」(東北大学総合学術博物館館長藤沢敦教授、河北新報、2011年5月11日)。

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