実習科目

社会教育課題研究

社会教育課題研究

地域住民は、身近な場所で環境・福祉・文化・産業などの生活の向上のための諸活動を多面的に行っています。とりわけ、地方分権の時代のもとで、自治体における住民参加による地域づくりが活発化しています。こうした多面的な内容による地域づくりには、住民の学習が地下水のように流れていることが読み取れます。「地域づくり」と「学習」は融合しており、双方を視野に入れながら地域づくりの営みから学習の持つ意味と意義を学ぶことにしたいです。

「地域のことは地域に入って深く知ることができる」と言われているが、この課題研究でもこの手法を重視して学んでいくことにします。地域住民は、地域生活の向上のために何を課題としているのか、地域づくりでどのような学習活動を展開しているのか、地域づくりの担い手としてどのような自己形成・発達を遂げているのか、地域づくりへの参画能力の形成をいかに行っているのかを追求したいと考えています。

社会福祉課題研究

社会福祉課題研究

社会福祉課題研究は、障がい者や高齢者、あるいは子どもといった、社会福祉の対象となる福祉につき、その実態を理解するとともに、地域における福祉課題を探求する授業です。毎年10数名の学生が受講しています。具体的には、車いすやアイマスクを利用しての地域踏査、各グループによる福祉課題についての調査研究、さらには一週間の高齢者介護施設での実習など、実践的に福祉の現状を学ぶことになります。

必ずしも入学時に福祉について学ぶという意識を持っていなかった学生も、現実の様々な困難に直面したり、支援を要する人たちの実態にふれたり、あるいは福祉施設での実習を通じて現場を理解したりすることを通じて、様々な問題意識を触発されるようです。受講した学生の中には、本科目で得た問題意識を4年次の卒業研究のテーマに発展させ、さらに学習を続ける者や、卒業後に福祉や医療の現場、あるいは行政機関の福祉部局で働いている者もいます。社会福祉課題研究は、地域あるいは福祉現場をフィールドにした実践的な学習の一つと言うことができるでしょう。

考古学実習 ―考古学実技の基本を身につける―

考古学実習は、各種の考古学実技の基礎を身につけることを目的とするもので、大きく室内実習と野外実習に分けることができます。

おもに前期には、土器や石器の図面を書く実測を学びます。これは各種専門器具を使って精密な図面を書くもので、あわせて遺物の扱い方を身につけます。

近年の野外実習では、夏休みに2~4週間ほどの日程で発掘調査を行っています。ほとんどの人にとっては初めての発掘ですが、慣れるにつれて大胆に掘る人や、発掘の魅力に取りつかれる人も少なくありません。

後期には、実習成果を報告書としてまとめるための各種作業を行います。製図、写真撮影、文章執筆、割り付け作業などがあり、それぞれ担当者を決め、分担しながら少しずつ報告書をつくり上げていきます。

年度末に報告書を刊行し、一連の実習が終了します。報告書は全国の大学に送付し、これまで高い評価を受けてきました。このように考古学に関わる実技は、発掘だけでなく様々なものがあり、これら一連の過程をひととおり学ぶことで「考古学者の卵」が誕生するのです。

縄文土器の実測
縄文土器の実測

本宮市 庚申壇古墳の発掘調査風景
本宮市 庚申壇古墳の発掘調査風景

古文書学実習 ―歴史を研究する上での基本を学ぶ―

古文書("こもんじょ"と読みます)とは、過去に記された文書が今日に伝わり、歴史を語る史料となったものをいいます。古文書学とは、古文書の形態・機能・様式などについて研究する学問のことで、歴史学の基礎というべきものです。日本史学科のある大学なら必ず置かれている科目ですが、福島大学で古文書学の授業があるのは行政政策学類だけです。行政政策学類では本格的に歴史学を学べるよう、文化史(前近代)・地域史(近代)の演習で史料講読を行うほか、くずし字を読んで史料に慣れ親しめるよう、古文書講読という授業も開いています。

古文書学実習では、学内に所蔵されている古文書や、被災資料として一時的にお預かりしている古文書を用いて、デジタルカメラで撮影して記録を残しながら整理・保存する作業を行っています。古文書の取り扱いの基礎を学べるだけでなく、学外に歴史資料の調査に出かけたときに役立つ技術を身に付けることができます。

あわせて、津波などで水損した資料の洗浄・乾燥作業や、虫食いにあった古文書を補修する裏打ちなども体験してもらいます。さらに、福島県歴史資料館や県外の博物館で、学芸員から古文書の取り扱い方や古文書を用いた研究方法などについて指導していただきます。

古文書学実習の様子、写真は福島県歴史資料館提供古文書学実習の様子、写真は福島県歴史資料館提供
古文書学実習の様子、写真は福島県歴史資料館提供

博物館学実習 ―博物館の現場を体験しよう―

博物館実習は学芸員の資格を得るための必修の科目です。学芸員の資格を得ることができるのは福島大学では行政政策学類だけで、本学類の「目玉の一つ」です。

学芸員とは博物館資料の収集、保管、展示、及び調査や研究に従事する専門的な職員です。本学類で学芸員の資格を得たことにより、宮城県庁をはじめとして、東北地方や北海道の自治体職員、博物館等の学芸員として多くの卒業生が就職しています。

博物館実習は夏休み、またはその前後に行われます。実習は大きく二つのコースに分かれます。一つは考古学コースです。考古学を学んでいる学生が受ける博物館実習で、白河市の県文化センターまほろんで実習します。もう一つは、古文書学を主に取り扱うコースです。こちらは福島県歴史資料館や郡山市歴史資料館などで、古文書の取り扱いや補修(裏打ち)・記録整理、資料の梱包、本物の企画展の展示準備などの実習を行います。

博物館実習を行うためには考古学や古文書学の専門的な知識が必要ですので、実習の希望者には考古学演習や考古学実習、古文書学実習や古文書講読等の専門科目を受講するようにとガイダンスしています。

博物館実習の様子(考古学)
博物館実習の様子(考古学)

博物館実習の様子(古文書学)、写真は福島県歴史資料館提供
博物館実習の様子(古文書学)、
写真は福島県歴史資料館提供

学類案内

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